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吉水の地を訪れて −親鸞ウォーク−

 真宗大谷派京都教区と教区仏教青年会が主催する「親鸞ウォーク」に参加し、京都市内に点在する親鸞聖人ゆかりの地を巡った。出家し得度の道を歩んだ青蓮院、聖徳太子の夢告によって吉水へと導かれた六角堂、法然上人との出会いの場である吉水草庵(現安養寺)、ここから吉水の法然上人の所に通ったとされる岡崎草庵(現岡崎別院)などには歴史の物語が息づく。

 

 心を奪われたのは円山公園奥の山手にある吉水草庵だ。比叡山を下りた法然上人が、西山広谷を経て草庵を結んだ地であり、承元の法難で配流されるまで、様々な人々に身分を超えて専修念仏の教えを広めた。現在は時宗寺院である安養寺が建っているが、本堂の阿弥陀如の脇には法然上人と親鸞聖人が鎮座し、法然・親鸞のゆかりの地として受け継がれていることが知れる。また、飛地の弁天堂境内の古井戸に彫られた「吉水」の文字は、よい水が湧き出ていることを意味し、これが地名の由来となったことを伝えている。

 

 この吉水で、親鸞聖人は法然上人に入門し専修念仏の教えを受けた。29歳から35歳の時である。この間、選ばれた数人の門弟の一人として『選択本願念仏集』の書写を許された。夢中で書写し、その教えを噛みしめたことであろう。また、『親鸞伝絵』には「信行両座」「信心諍論」の場面があるが、吉水時代には、信心が大事であることや親鸞聖人と法然上人の信心は全く同じといった議論が盛んに行われていたことが知れる。

 

 吉水時代の京都の景色は800年以上の歳月を経て変化している。しかし、親鸞聖人の法然上人との出あいがこの地に残した足跡は今も色あせることはない。

今回の行程を終えたとき、万歩計は23,000歩を刻んでいた。参加者は、歩き切った充実感と、親鸞聖人にいっそう寄り添えたような気分を味わい、来年も参加しようと笑顔で別れた。

 スタッフの皆さんにはお世話になり、ありがとうございました。